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目次
1.ニュージーランド出張
2.中国知財の動き(その2)
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(1)松尾代表、渡邉顧問、当方の3名は、4月14日から5泊7日の日程でニュージーランド(NZと略)に出張した。出張の目的は、①NZ支店設立、②商標「MEBUKI」の現地事務所への出願依頼、および③知財庁と裁判所の見学である。
(2)NZ支店は、NZの経済の中心でもあり最も人口の多いオークランド市に設置した。NZ支店は、オークランド市の中心地および国際空港の双方から車で15~20分程度の場所にある。最近、NZは、オーストラリア(AUと略)との間で、共通の弁理士資格制度を採用した。この結果、NZの弁理士は、自国の特許出願のみならず、AUの特許出願も代理できるようになった(逆に、AUの弁理士もNZの出願代理が可能)。また、NZの人口は、ここ数年増加しており、現在約480万人の人口はもうすぐ500万人に達すると見込まれている。NZは、今後、非常に楽しみな国の一つといえる。
(3)今回、商標「MEBUKI」を出願依頼するために訪問した現地特許事務所は、オークランド市の海岸近くにあるPotter IP(注1)である。この事務所は、出願代理や知財カウンセルを行う部隊と、ソフトウェアの開発部隊とを有する。ソフトウェアは、NZ以外に、US、AU、JP、CNなどの知財主要国にて商標出願を希望するクライアントが適切な商品や役務を決定するのをサポートするものである。価格を聞いたところ、クライアントの規模にもよるが、1000~1800NZD(約75000~135000円)とのこと。ソフトの使用状況を見せてもらったが、機能と比較すると低価格のように感じた。NZでは、登録弁理士は150名だが、特許明細書を作成している弁理士はその内の2/3に当たる100名くらいとのこと。明細書作成費用の幅は、日本円で40~80万円とのことで、日本よりも多少高いように感じた。
(4)NZ知財庁(注2)および各種裁判所は、NZの首都であるウェリントンにある。我々は、4/17にオークランドから日帰りでウェリントンに行き、まずは、知財庁を訪問しようと考えた。知財庁は、日本と異なり、経済を管轄する省の建物の中にある。この建物の内部に入るには、知財庁の担当者とのアポイントが必要であり、日本の特許庁のように、オープンスペースに入ることはできなかった。次に、歩いて1分しか離れていない地方裁判所に向かった。先ほどとはうって変わって、セキュリティチェックはあるものの、簡単に裁判所内に入ることができた。法廷内で傍聴もでき、陪審法廷では、陪審員の代表から評議の結果(無罪であったため父親らしき人が被告と抱き合って喜んでいた)を聞く機会を得た。日本の法廷では、通常、一つの事件が終了すると、裁判官は退室する。しかし、今回傍聴した刑事法廷では、警察官と思しき人が罪状を告げ、次から次へと順番に事件のヒアリング(各弁護士の陳述と各当事者の証言)が行われていた。我々は、4、5件の事件を一箇所の法廷で傍聴できた。
その後、最高裁判所に移動し、簡単なセキュリティチェックを経て、ロビーと法廷とを見学した。訪問日には裁判は行われていなかったが、法廷内の豪華な設備には驚いた。若い警備員はとても親切で、写真撮影にも協力してくれた。最後に、高等裁判所に入ったが、裁判は午前中で終了しており、傍聴はできなかった。
(5)今回、NZを訪問して、現地を訪問しないとわからないこともあると、つくづく思った。家の内装・水道工事を依頼しても日本と比べて多くの時間・費用がかかること、NZには蛇がいないとのこと、NZへの果実・野菜の持ち込みが厳しいこと、NZではよほどのことがないかぎり現金を持ち歩かなくてよいこと、最低賃金が日本円で1,400円程度であること等。
(注1):Potter IPのWEB SITE・・・http://www.potterip.com/
(注2):NZ知財庁のWEB SITE・・・https://www.iponz.govt.nz/
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以下は、前回の続きで、次のお二人のお話からのものをベースにしている。一人は、私が理事をしている一般社団法人国際知財活用促進連盟のメンバーである西内盛二弁理士、もう一人は、劉海波氏 (共に、詳細履歴は、前回を参照されたし)。
(1)職務発明
第4回改正(2019年末ごろ承認予定)では、大幅な改正は無い模様。
ただ、私も以前からびっくりしていたが、現行法は、日本とは大きな違いがある。それは、退職後1年以内の元の会社の職務や任務に関係のある発明は、元の会社に帰属する点である(次の実施細則12条3号に記載あり)。
「実施細則第十二条
専利法第六条に言う、所属機関の任務を遂行することによって完成した職務発明創造とは
(1)本来の職務の中で行った発明創造。
(2)所属機関から与えられた本来の職務以外の任務の履行によって行われた発明創造。
(3)定年退職、元の所属機関から転職した後又は労働や人事関係終止後の1年以内に行った、元の所属機関で担当していた本来の職務又は元の所属機関から与えられた任務と関係のある発明創造。
専利法第六条に言う所属機関には、一時的な勤め先を含む。専利法第六条に言う所属機関の物質的技術条件とは、所属機関の資金、設備、部品、原材料、又は一般的に開示されていない技術資料などを指す。」
なぜ、このような規定とされているのかを以前、他の中国弁理士に聞いたところ、「国有企業保護」からと言われた。中国企業の実務は、他社から来た人の特許出願は、入社後1年以内は行わない。
(2)知的財産金融
日本でも知財金融が動きだしているが、中国は実務的に日本より進んでいる面がある。保険、融資、証券化が中国での3大分野。融資は、2018年実績では中国が1224億元(約2兆円)で、日本は100億円前後。
中国は、政府主導で特許や商標の活用を図っている。日本は、中小企業対象最近活用を図っているが、その利用程度は低い。
中国は今ではGDPは世界2位。中国の友人の昔の話を聞くこと、が時々ある。大躍進時代や文化大革命時代'(共に彼らの父母が生きた時代)。天安門事件とその後の改革開放時代。激動の時代を生きてきた彼らの話を聞いて涙を流すことが度々ある。私は、団塊の世代であり、貧しい時代から高度成長時代、失われた20年を生きてきた。初任給で言えば約10倍。彼ら中国人は、200倍以上。これは、中国人の30年前の年収が1万8000円(注1)であり、更に20年古い時代からで言えば、200倍以上となるであろうから。
生活レベルで言えば、日本の明治時代後期から今では、平均は、昭和の初期か?日本との大きな違いは、同じ空間にものすごいお金持ちと、農民戸籍の出稼ぎの貧乏人がいること。貧乏人がかわいそう。
注1:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13184346248
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