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MEBUKI IP Small Talk 3月号(2019年)

目次

1.ニュージーランド支店設立

2.中国知財の動き(その1)

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1.ニュージーランド支店設立  パートナー・弁理士 長谷川洋

(1)来月、ニュージーランドのオークランド市に、弊社のニュージーランド支店を設立する予定である。現在、ニュージーランドに住んでおり、年間を通じて、中国、日本、ニュージーランドを行き来している知財専門の友人、および渡邉顧問の協力を得て設立にこぎつけた。弊社の松尾代表、渡邉顧問、長谷川は、支店設立を機に、来月中旬、ニュージーランドを初訪問する。支店設立の他、現地事務所での商標出願依頼、知財庁訪問を予定している。ニュージーランドでの支店設立を、弊社がワールドワイドに仕事をする第一歩としたい。

(2)ニュージーランドは、人口約500万人(日本の4%)、面積約27万km2(日本の70%)のTPP加盟国の一つであり、主に北島と南島の2島から成る。オークランド市は、ニュージーランド最大の商業都市であり、経済の中心地である(川崎市より若干多い約160万人が在住)。ちなみに、首都は、オークランド市と同じ北島にあるウェリントン市である。ウェリントン市には、ニュージーランド知財庁がある。

(3)ニュージーランドは、農業、畜産の国というイメージが強い国だが、近年は、医薬、医療機器、情報技術(IT)などの産業にも力を注いでいる。ニュージーランドにおいて、一昔前までは、隣国のオーストラリア、シンガポール、米国との取引が多かったが、最近では、それらに加えて中国との取引が増大している。「世界経済のネタ帳」によると、ニュージーランドは、GDP総合では世界52位で、一人あたりは21位、オーストラリアは、13位で一人当たりは11位。ちなみに日本は、総合3位で、一人あたりは25位。

(4)現地の弁理士資格は、最近になって、オーストラリアとニュージーランドの共通資格となった。この結果、ニュージーランドからオーストラリアに出願できる(またはその逆も同様)。ただし、特許法や商標法の統一には至っていないので、例えば、オーストラリアで特許可能なコンピュータプログラムの発明や診断方法の発明などは、ニュージーランドでは特許を取得できない。ニュージーランドの特許制度については、https://mebuki-iplf.jp/ip-nz.phpを参照いただきたい。

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2.中国知財の動き(その1)   顧問・弁理士 渡邉秀治

 会社勤務時代、特許事務所経営時代を通じ、米国と中国を重視し、それぞれ20回弱の出張をしてきた。事務所時代には、「米国、中国と日本を結ぶ」をモットーにしてきた。最近、中国関係で、お二人から知財動向をお聞きした。一人は、私が理事をしている一般社団法人国際知財活用促進連盟のメンバーである西内盛二弁理士(1997年高知大学大学院理学研究科化学専攻修士卒業。現在、Uni-intel Patent & Trademark Law Office (北京)の所員で、日本支店代表、2003年日本弁理士登録)。もう一人は、劉海波氏 (中国科学院 科学戦略部 研究員 (中国科学院大学教授)で、現在、中国の政府系研究機関の研究員として中国の国家戦略との関わりから技術・知財分野の研究を実施)。

 そのお二人からお聞きした情報の主なものを下記する。今月は、専利法の改正について。専利法は、過去、8年毎に改正されてきたが、今次の第4回改正は、2016年予定が遅れ、最後のパブコメ募集が今年の2月3日まであり、今年中には改正がされると予想されている。

(1)専利法の改正案の主な点
 ①懲罰的賠償制度の導入・・・「故意に専利権を侵害し、状況が深刻である場合は、上記方法により確定された金額の1倍以上5 倍以下により賠償金額を確定することができる。」とされ、米国(米国は3倍まで)と同様な賠償額の増加の規定を導入。劉海波氏に確認したら、このような懲罰的な賠償規定は専利法のみで、他の中国法には無い由。
 ②法定賠償額の引き上げ・・・「権利者の損失、侵害者が獲得した利益及び専利許諾実施料のいずれも確定できない場合は、人民法院は専利権の類型、侵害行為の性質及び状況などの要素に基づき、10 万元以上500 万元以下の賠償を確定することができる。賠償金額には、さらに権利者が専利権侵害行為を阻止するために支払った合理的な出費を含めなければならない。」とされ、従来の「1万元以上100 万元以下」を引き上げている。
 ③特許侵害訴訟の時効・・・「専利権侵害の訴訟時効は3 年であり、専利権者又は利害関係人が侵害行為を知り又は知り得た日から起算する。」とされ、従来の2年から3年に1年間だけ延長される。
 ④意匠の存続期間・・・「発明専利権の期限は20 年であり、実用新案専利権の期限は10 年であり、意匠専利権の期限は15 年であり、いずれも出願日から起算する。」とされ、意匠が10年から15年に延長される。
 ⑤その他・・・多数あるが、詳細は下記ホームページを参照されたい。  https://www.ngb.co.jp/files/pdf5c3fe172a6a94.pdf
 http://knpt.com/contents/china_news/2019.01.22.pdf
 https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/ip/law/pdf/opinion/20190104_3.pdf

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