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目次
1.IPランドスケープの現状(3/3)
2.組織のビジョン、目標の確立
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香港では、2023年10月現在、3種類の特許が存在する。3種類の特許の内の2つは、ともに従来から知られている標準特許(R)と短期特許である。3つ目の新しい特許は、2019年12月19日から施行されている標準特許(O)である。ちなみに、弊社は、あるお客様向けに、香港に標準特許(O)を出願した実績を有する。
今回は、主に、標準特許(O)について説明するが、従来から知られている標準特許(R)と短期特許についてもおさらいの意味で最初に述べたい。
(1)3回に渡る標記テーマは、9月8日に東京の株式会社情報機構主催のセミナーで私が行った「知財戦略の立案・策定方法と実務上の留意点」の時に参加者のある方から「中国、米国でのIPランドスケープはどのような状況ですか」という質問があったのが切っ掛け。第1回(1/3)では主に日本の現状を述べ、第2回(2/3)では、中国、米国の弁護士・弁理士の友人に確認した状況を述べた。
今回の最終回では、日本の現状の追加と私が考える将来について述べたい。
(2)日本の現状の追加
日本特許庁の外郭組織であるINPIT(インピット)では、中小企業や中堅企業向けにIPランドスケープ支援事業を実施している。
https://www.inpit.go.jp/katsuyo/ipl/index.html
そこには、『中小企業等の経営層が持つ「経営」や「事業」の課題に対して、市場や事業、知財等の分析を通じた解決策のご提案を支援いたします。』と書かれている。IPランドスケープ支援事業 公募要領が次のURLにある。
https://www.inpit.go.jp/content/100878423.pdf
私が知っている従業員100人程度の中堅企業が応募し、実施した。新分野への進出の方向を探る目的。その結果を受け、更に検討を進めている。この事業の応募に当たっては、各県にある知財窓口の担当の支援を得るのが良いと思う。
(3)私が考える将来
IPランドスケープを企業内で定常的に利用、実施できるようになるには、下記A、B、Cの少なくともB、Cが前提。Aを構築できれば、IPランドスケープの事業は、構築された部門の中の一部となり、完全に定常化すると思われる。
A:知財部門がノウハウ、技術流出問題など知的資産全般の評価、向上に携わる部門になり、人材面でも総合力を有する部門になっていること。
B:トップ、少なくとも事業部門長とのコミュニケーションを取っていること。
C:企画、営業、技術との協力関係を構築していること。
IPランドスケープは、経営戦略、技術戦略、営業戦略と強固に結びつくものでなければ利用価値がない。そのため、トップと本音で話し合え、企画、営業、技術と議論し合える関係でなければ使えるIPランドスケープにならない。
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(1)私が事務所を経営していた中で、また現在、顧問6社(企業3社、特許事務所3つ)を見ていて、さらに知財支援にて全国の中小企業に行って、感じることを述べたい。 具体的にいうと、次の3つが足りてないと思う。
私の経営者時代は、自然に下記①②を行っていた。③は残念ながら私個人の目標のみでした。
①組織の能力アップ(特許事務所で言えば弁理士の能力アップ、事務員の能力アップ)。
②トップの役割明確化(権限移譲)と従業員の動きやすさ 。
③組織のビジョン、目標の確立 。
(2)昔からリクルート(下記参考1)に関心があった。次から次と人材が育っているから。ある本によると、リクルートさんは、権限移譲文化とのこと。またサイボーズ(下記参考2)は、個人の生き方に沿う働き方で最近有名。
(3)上記①②③の問題で大学時代の友人と議論した。
①の問題: 友人いわく、「大企業では、マニュアル化を徹底していることで悪さが出ているところも多い。ほとんどが手順のマニュアル化などで、マニュアル作成者の狙いが理解されていない不具合だ。できるだけマニュアル化しないように勧めている。基本に帰って自分の頭で考えようと言っている。マニュアルを作った人の狙い(気持・覚悟)が伝わなければ、活用されても有効な成果が出にくい。」
大企業で能力アップにおいてマニュアルが使用されており、その弊害は私も分かっているが、中小・中堅企業では、マニュアルと言葉で何回も言わないと従業員には伝わらず、ミスを繰り返す。組織の能力アップは、その標準(マニュアル)が上位20%以上の人が行っているものにすることで、全体がアップしていく。10年ほど前から日本のマニュアルは、米国、中国の生産現場のマニュアルに対して非常に高いレベルのものをつくるべきと思っている。米国、中国の生産現場は知識レベルが極めて低い人が多くそのような人向け。
(4)②の問題:企業の部門トップや特許事務所のトップで動いているときに思ったのだが、トップは役割が明確であり、しかもコストがトップの時間コストに合わないものは部下に任せるべき。権限移譲である。そうしないと、部下がすべてについてトップの判断を仰ぐようになり、効率が非常に落ちる。中小企業、特許事務所の多くは、これができていない。
(5)③の問題:事務所経営時代の私の目標は、年収3千万円、60歳で経営から身を引く、でした。事務所をどうするかは、「中国と米国と日本を結ぶ」のみで具体的な動きは従業員を含め出張ベースで米国、中国へ行くことだけ。そのため、事務所の生き残り、継続の仕組みは作らず、心残りがある。
後、所員が増えると、どんどん低下し退社時点では1千万円ちょっと。
辞める前には後継者と共に2年間程度一緒にクライアントの所に行き、私の考え方、動き方を知ってもらった。しかし、辞める直前には彼の考え方、仕組み作りが私と異なっていることが分った。だが、彼は、将来は50人体制にする、というので私ができなかったこと(20人強体制まででそれ以上大きくできず)をやってくれると思い、辞めさせてもらった。
その後、私は、三菱UFJリサーチ&コンサルティング非常勤に特化した(2013年6月~2020年3月)。そこでは私指名ではなく他の人でも可能な仕事が多く、仕事は指名していただくことでやりがいが生じるため、三菱を辞めさせていただき、その後は顧問、講演、知財窓口支援など、指名された仕事を行うようになった。
(6)最近、「理念経営 2.0」に「パーパスナラティブキャンパス」というものが掲載されていることを知り、組織のビジョン、目標の確立 に役立つのではないかと思った。今まで、目標やビジョンを作る場合、次のものを利用していた。
・SWOT分析、クロスSWOT分析 ・経営デザインシート簡略版 ・ビジネスモデルキャンパス ・知的資産経営報告書
これらを使用すると、問題点、方向性などは出てくるが大きな目標やビジョンを作るのには適さなかった。私自身の失敗も踏まえて、経営に関する書籍を読んで勉強している中で「理念経営2.0」著作者:佐宗邦威氏に出会った。
「パーパスナラティブキャンパス」は、組織のものと個人のものを作る。組織の人は皆自分のものを作り、組織のものが 出来上がったら自分のものと組織のものをドッキングするようだ。私は、やはり各個人が自分ベースで作ることに価値があると思う。組織のものは完成しなくても 個人のものができればトップや仲間は寄り添うこともできるので。
*参考1:「リクルート」https://www.recruit.co.jp/company/philosophy/
基本理念:私たちは、新しい価値の創造を通じ、社会からの期待に応え、一人ひとりが輝く豊かな世界の実現を目指す。
**ビジョン:目指す世界観 Follow Your Heart
一人ひとりが、自分に素直に、自分で決める、自分らしい人生。本当に大切なことに夢中になれるとき、人や組織は、より良い未来を生み出せると信じています。
**ミッション:果たす役割:まだ、ここにない、出会い。より速く、シンプルに、もっと近くに。
私たちは、個人と企業をつなぎ、より多くの選択肢を提供することで、「まだ、ここにない、出会い。」を実現してきました。いつでもどこでも情報を得られるようになった今だからこそ、より最適な選択肢を提案することで、「まだ、ここにない、出会い。」を、桁違いに速く、驚くほどシンプルに、もっと身近にしていきたいと考えています。
**バリューズ:大切にする価値観
・新しい価値の創造/ Wow the World
世界中があっと驚く未来のあたりまえを創りたい。遊び心を忘れずに、常識を疑うことから始めればいい。良質な失敗から学び、徹底的にこだわり、変わり続けることを楽しもう。
・個の尊重/ Bet on Passion
すべては好奇心から始まる。一人ひとりの好奇心が、抑えられない情熱を生み、その違いが価値を創る。すべての偉業は、個人の突拍子もないアイデアと、データや事実が結び付いたときに始まるのだ。私たちは、情熱に投資する。
・社会への貢献/ Prioritize Social Value
私たちは、すべての企業活動を通じて、持続可能で豊かな社会に貢献する。一人ひとりが当事者として、社会の不に向き合い、より良い未来に向けて行動しよう。
*参考2:「サイボーズ」https://cybozu.co.jp/company/internal-control/
**Purpose(存在意義):チームワークあふれる会社を創る
**Culture(文化):理想への共感 公明正大 多様な個性を重視 自立と議論信頼を獲得するための行動指針(Action5+1)
1.理想への共感 2.公明正大 3.知識を増やす 4.心を動かす 5.あくなき探求 6.不屈の心体
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