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MEBUKI IP Small Talk 6月号(2023年)

目次

花王(株)による蚊にさされないようにする発明(第2弾)

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花王(株)による蚊にさされないようにする発明(第2弾)
                      パートナー弁理士 長谷川洋

 最近、朝の情報番組を見ていたら、花王株式会社による蚊にさされない発明が紹介された。2,3年前にも、花王株式会社が発明した蚊にさされないようにする忌避剤の話をメルマガで取り上げた。その忌避剤は、蚊が人肌に留まるのを嫌がるシリコーンを含むものであった。ひと昔前であれば、蚊に刺されないようにする=殺虫であったが、近年では、脱殺虫が注目を浴びている。その一つの理由は、以下のとおりである。殺虫剤を開発してもすぐにその殺虫剤に対する抵抗性を持つ蚊が現れるため、殺虫剤の開発と当該抵抗性を持った蚊の出現とのいたちごっこになっているからである。
 今回の発明は、蚊を飛べないようにするものである。元々、蚊の羽根には水をはじく成分が存在する。このため、蚊に水をかけても、蚊は落下しない。しかし、界面活性剤を含む水(洗剤のようなもの)を蚊に浴びせると、蚊は、飛べなくなり、落下する。それは、疎水性の羽根に界面活性剤が付着するためである。
 さらに、この方法は、蚊を飛行できなくすることに加え、蚊をノックダウン状態させることができるそうである。蚊をはじめとする昆虫には、体内に酸素を取り込むための気門という小さな孔があるそうである。界面活性剤が気門を塞ぐと、蚊は体内に酸素を取り込むことができなくなり、ノックダウン状態になるという。
 特許庁のDB(J-PlatPat)で少し調べてみると、上記忌避剤に関連すると思われる特許出願公開公報(特開2021-050198号公報)が見つかった。他にも関係する公報はあるが、紙面の都合で省略し、代表的な公報のみを挙げる。権利を主張する特許請求の範囲を見ると、上位の請求項1は、パラメータを使って記載されている。請求項2,3では、非イオン性界面活性剤およびその具体的な剤が記載されている。この発明における特徴的な成分は、非イオン性界面活性剤である。この出願は、まだ特許として成立していない。この公報をご覧になりたい方は、次のURLからアクセス願いたい
(URL:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-2021-050198/1523DD002CC6C0A9A598A3C148B9E4BD53D877DEFA380509C62D91D3227E922D/11/ja )。
 また、花王株式会社のサイトでも詳しく紹介されているので、興味のある方は、次のURLにアクセス願いたい
(URL:https://www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2023/20230620-001/ )。

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