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目次
1.権利付与後の情報提供
2.技術にも品質がある
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(1)弁理士としては情けないことに、最近になって、権利付与後の情報提供があることを知った。5、6年前には無かったはずで、いつから開始されたのかを調べたら、審判便覧の10―04 PU「権利付与後の情報提供」(注1)が改訂H27.2とされており、2015年に加えられたものと思われる。
(2)情報提供は権利化阻止のためと思っていたが、下記のように、その他の目的、効果もあるとして採用された模様。なお米国では、情報提供は特許許可通知の発行前の限定された時期のみ可能で特許後は情報提供制度は無い。特許後は日本と同種の異議的なものや無効審判となるが日本と比べて非常に高い費用が発生する。中国では、従来の日本と同様、特許前のみで特許後の情報提供 は無く、特許後は無効審判となる。庁費用は、日本は無料であり、米国は10文献ごとに180ドル(いわゆる中小企業:スモールエンティティ90 ドル)、ただし3文献以下は無料(注2)で、中国は日本と同様に無料。
(3)特許庁HPには以下のメリットが記載されている(注3)。
ア 特許権者が、特許の活用に際して提供情報を事前に検討することができるとともに、必要に応じて特許の瑕疵を訂正審判により解消することができるため、不要な紛争を事前に防止することができる。
イ 無効審判を請求しようとする者が、それまでに提供された情報を参考にして無効審判請求をし、より充実した無効理由・証拠を提示することができ、特許の見直し機能を補完することができる。
ウ 無効審判又は訂正審判が請求された際には、合議体が職権審理の裁量権を有するところ、合議体が適切と認めた場合には、提供情報を職権審理の対象とすることもでき、より迅速・的確な審理が期待できる。
エ 侵害訴訟と並行して訂正審判が請求された場合に、侵害被疑者(通常は、訴訟被告)が、当該制度を利用して無効の抗弁に使用した証拠を審判官に提示することができるため、相手方の存在しない訂正審判の審理においても独立特許要件等の訂正要件についての審理を的確に行うことができる。
注1:https://www.jpo.go.jp/system/trial_appeal/document/sinpan-binran/10-04.pdf
注2:https://www.uspto.gov/web/offices/pac/mpep/s1134.html#d0e121728
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(1)私の大学時代の友人で、一緒にボーリング、囲碁、ビリヤードなどを楽しんだ者が書いた「技術にも品質がある 」(日本規格協会 税別1,300円)を紹介したい。彼は、リコーに入り、複写機やレーザープリンタの技術開発と製品設計に従事し、技術開発センタ所長を経験後、品質工学の指導と推進を行った。現在、品質工学の専門家として大手企業など数社の品質工学の顧問をしている。
(2)彼は、既に10冊近くの本を書いているが、この本は、「一流の経営者に向かって書け」と品質工学会会長のアドバイスによって書いたもので、分かりやすい。
・日本では、製品品質を作り込む品質管理は高水準を維持しているが、技術品質を開発する技術は空洞化している。
・技術品質を開発する技術の要諦は問題点の分析からスタートするTQCの発想、やり方ではなく、未然防止の考えも取り入れたTQMが必要。
(3)上記に基づき、彼は次のことを述べている。
・未然防止は、創造主(開発者)だからできるし、しなければならない。
・品質工学は、理想はどうあるべきかを考え理想とのずれを最小にするもの。
(4)また品質工学の特徴を以下のように述べている。すなわち、効率よく性質を判定するための三原則を示している。
・第一:原因を追究してはいけない。根本的な解決を望むなら原因を追究するな。
原因の影響を受けにくい性質を追究することが肝要。
・第二:品質を改善したかったら品質を測るな、機能を測れ。
・第三:ばらつきを大きくしなさい。ばらつきを発生する条件を、意識的、積極的にばらつかせなさい。
(5)開発部門トップや経営者の方に読んでもらいたいと思う。
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