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MEBUKI IP Small Talk 2月号(2023年)

目次

1.秘密意匠の活用および短期の関連意匠出願の勧め

2.特許権の1行請求項

3.私の講演メニュー

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1.秘密意匠の活用および短期の関連意匠出願の勧め
                      パートナー弁理士 長谷川洋

1.1 秘密意匠の活用
(1)最近、特許出願と併用して意匠も出願したり、国内のみならず海外でも意匠を出願したりするお客様が増えてきたように思う。私は、日本で意匠出願する際には、お客様に、意匠登録後も最長で3年間は意匠を非公開とする制度(秘密意匠制度)を利用することをお勧めする。
(2)日本では、意匠を出願すると、審査で拒絶されない場合には1年以内に登録可能である。意匠が登録されると、原則、意匠公報に当該意匠が公開される。これをもって、当該意匠は公知となる。その後、その意匠と同じ対象の製品を特許出願しようとしても、その特許出願に係る発明が製品の形状や構造に関する場合、公知になった自分自身の意匠が障害となり、特許を取得できなくなる場合もある。秘密意匠を利用すれば、登録後最長で3年間、当該意匠は公知にならないので、特許取得の可能性は高まる。
(3)国内外で意匠を出願する場合にも、秘密意匠は便利である。意匠のルールは、国による差が大きい。特に、米国は、意匠図面の描き方につき厳しい国の一つである。日本で意匠を出願し、その後6カ月以内にパリ条約優先権を主張して、米国を含め数カ国に出願したとしよう。これら数カ国で何事もなく登録できれば問題はない。しかし、例えば、米国で意匠図面が不備であると認定された場合には、拒絶理由通知が発行される。補正で対応できれば良いが、補正が許されないケースもある。その場合、その国で出願を再度行いたいが、既に日本の意匠が公開されて1年以上経過していると、出願前公知が理由で再度の出願ができなくなる。秘密意匠を利用すれば、登録後最長で3年間、当該意匠は公知にならないので、外国での再出願の可能性は高まる。

1.2 短期の関連意匠出願の勧め
(1)日本では、2020年に、改正意匠法が施行された。この改正意匠法によって、最初に出願した意匠Aと類似する意匠B(関連意匠という)については、意匠Aの出願から10年以内であれば適法に出願可能となった。
(2)しかし、関連意匠Bの出願可能な期間が長くなったからといって、外国での権利化には関係ないことに留意すべきである。例国や中国では注意が必要である。これらの国では、日本と異なり、意匠は特許法の中で規定されている。類似する意匠を別々に出願することは許されない。別々に出願できるのは、互いに非類似の意匠である。
(3)先の例で言えば、意匠Aを日本に出願後すぐに米国で意匠Aにつき出願したとしよう。意匠Aの出願から1年後に関連意匠B国でも関連意匠Bを出願した場合、日本では登録できても、米国では登録不可となる。米国では、クレームが重なる別々の意匠出願は登録できない。これは中国でも同様である。類似する意匠は一つの出願としないといけない。ただし、米国では、類似する意匠をたくさんまとめて出願した際に、米国特許商標庁の審査官によって、意匠の単一性を満たさないことを理由に限定要求される可能性はある。その場合には、一部を削除して、後から分割出願すればよい。
 以上の点を考慮すると、日本で互いに類似する複数の意匠を短期に(できれば6カ月以内に)出願し、それら意匠をまとめて米国や中国に一つの出願を行うことをお勧めする。

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2.特許権の1行請求項             顧問・弁理士 渡邉秀治

(1)「短い請求項」の例が何かのホームページに記載してあったので2021年9月に保存しておいた。最近、私の保存データを見ていたら発見した。
・特公平7-63335:請求項1:卵豆腐を油で揚げてなる揚げ出し卵豆腐。吉村清
・特許2920767号:請求項1:凍結ゼリー入り飲料。日本水産株式会社
・特許3592302号:請求項1:卵殻微粉末を添加してなるとろろ芋。キューピー(株)
・特許3648346号:請求項1:半熟卵を内包する玉子豆腐。株式会社紀文食品

(2)また今回新たに検索したら次のURLに他のものが見つかった。
http://inapon.cocolog-nifty.com/tokyo/2011/05/post-997a.html
・特許3426554号:請求項1:可溶性卵殻膜を添加してなる卵製品。キューピー(株)
・特許3052369号:請求項1:ポリ乳酸からなる浴用軽石。株式会社島津製作所
・特許2988995号:請求項1:球面を備えた蓄積性蛍光体。理学電機株式会社
・特許2870557号:請求項1:米麹粕よりなる飼料補強材。株式会社サナ
・特許2517966号:これは公報への記載ミス
・特公平7-110864:請求項1:結晶性無水アモキシシリン。ビーチャム グループ
・特公平6-96586:請求項1:ヘキソースリン酸第一鉄塩。花王株式会社

(3)知財業界に身を置いて50年になる。上記のような短い特許請求範囲の権利を取得したかった。しかし、私のいた業界は電子、電気業界。上記のうち、1つを除き全て食品と化学系。このため、私は1行や2行の請求範囲の特許を取得した経験は残念ながら無し。電気業界では、2行特許で有名なものがあり。言わゆるICカード特許。「請求項1:能動素子を含み外部からの入力に応答して識別用の新たな信号を発生する集積回路を識別装置として本体に埋設して成るカード。」
 この特許は有村國孝氏が取得したものであり、次の番号を有する。
・特公昭53-006491 特許0940548
・無効昭63-009532 出訴事件番号(平02行ケ00077) 出訴日(1990/03/23) 判決記事 訟務対応番号(1) 訴え却下 判決日(1990/12/26)
・存続期間満了による抹消 存続期間満了日(1990/03/03) 本権利消滅日(1990/03/03)
 このように訴訟に打ち勝ったが、ICカードが本格的に普及する前に権利が消滅したため、有村氏は利益享受できなかったと思われる。改良発明が必要だったと思う。

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3.私の講演メニュー              顧問・弁理士 渡邉秀治

(1)私は、現在、ノウハウや経験をお伝えすべく、民間顧問会社の対象部門の方と顧問特許事務所の経営者レベルの方に顧問メルマガを配付させていただいている。
 昨年、私が作成した契約マニュアルをこのメルマガ受信者の方々に紹介し希望者に配布させていただいた。今回、各社様に私が過去に講演してきた題目を紹介させていただき、下記の条件にて希望会社様に講演をさせていただきたい。希望者は「watanabe@mebuki-iplf.jp」へ。

「条件」
 ・題目:下記する題目から選択又はご希望で題目決定
 ・手法:訪問又はWEB
 ・費用:*1:めぶき弁理士法人のお客様は以下。
      訪問時:「講演時間×8千円+消費税」+1.1万円+交通費実費
      WEB:「講演時間×8千円+消費税」
     *2:このメルマガ受信者様は8千円の部分が1.4万円となる。
     *上記*1や*2の方以外の方は8千円の部分が2万円となる。
 ・時間:ご希望に対応
 ・時刻:原則、午後

(2)講演メニュー(題目):過去の実際の題目例
 ・知的財産法の概説 ・身近な産業財産権 ・譲渡証書と職務発明規程と大学対応
 ・知的財産権の歴史と本質(知財って何?) ・発明創出するために ・良い発明を創出するために
 ・発明を創出しよう ・こんなアイデアが特許になる! ・アイデア創成と知財力の向上
 ・アイデア創出と有効特許創成 ・特許出願詳細(分割、プロセスクレーム他) ・初心者の特許
 ・クレーム(特許請求範囲)の書き方 ・明細書のき方 ・明細書のチェック
 ・明細書の作成方法と中間対応 ・知財権の権利解釈について ・意匠の基礎 ・商標の基礎
 ・日本の商標について ・商標の類比判断、実務の変化などについて
 ・商標の登録要件、特に戦国武将の名称や家紋等と商標法4条1項について
 ・ブランドと商標制度について ・地域団体商標 ・事業に身近な商標権を考える
 ・商標と地域ブランド ・著作権の基礎 ・不正競争防止法と著作権法のイロハ
 ・営業秘密と不正競争防止法の基礎 ・特許入門編(日本・中国)
 ・不正競争防止法(商品等表示、誤認惹起表示)について ・発明への報奨
 ・PCT出願について ・マドプロ出願について ・営業担当と知財
 ・営業に必要な契約知識と知財ポイント ・売上UPにつながるブランド作り
 ・中国の商標とブランディング ・知財の光と影-営業、経理、新人の方にも分かる知財-
 ・知財の基礎知識、活用法と効果 ・特許権と商標権の身近な活用事例について
 ・最近の知財の動きと今後の対応 ・特許明細書の基礎と注意点及び秘密保持契約のポイント
 ・特許出願とノウハウ、発明を導き出すために、特許公報を有効に使うために
 ・出願、秘匿化の戦略、戦術  ・うまく真似するには(権利切れの特許、意匠などの活用他)
 ・海外特許出願制度(米国、中国、PCT、EPC、韓国、台湾) ・米国出願
 ・中国の最近の特許事情 ・中国の共有と、その関連情報 ・米国特許のイロハ
 ・中国、台湾、香港の特許法の概要 ・中国の知財の光と影 ・海外展開の意匠、商標
 ・中国での模倣対策 ・中国と米国と欧州とマドプロの商標
 ・海外展開時における意匠、商標の活用ポイント
 ・意匠、商標の基礎知識と海外展開のためのポイントと留意点
 ・中国での商標登録について ・中国知財の実情について
 ・中国での中国実用侵害問題と中国知財戦略、戦術 ・中国商標問題対応と知財目的について
 ・中国に特許、実用を出すことの意義と実用新案の特徴と中国知財がらみ
 ・米国のトレードドレス、商標制度とその他の国の商標制度
 ・外国出願戦略と権利行使できる特許の創成について ・研究活動と特許と調査
 ・権利行使に強い明細書 ・ライセンスビジネスの戦略、戦術 ・特許出願からライセンス
 ・技術関連契約に関する基礎知識 ・知財売買等と企業が生き残る道
 ・特許調査手法と分析の説明と試行 ・リエゾン活動について
 ・特許紛争と侵害訴訟のケーススタディ
 ・特許侵害された場合、どのような手順を踏めばよいか?
 ・特許権の差押えと知財価値評価 ・日中の職務発明規程 ・中台タイの職務発明規程
 ・職務発明規程 ・中小企業における効率的特許管理 ・中小企業のライセンス戦略
 ・ベンチャー企業における効率的特許管理 ・大学の知財戦略
 ・中堅企業、ベンチャー企業の知的戦略 ・企業知財と特許事務所の連携
 ・著作権、契約を中心としたリスクマネジメント ・秘密保持契約について
 ・知財と契約~ビジネス視点で~ ・知的財産取引の動向や事例
 ・知的財産が関係する契約条項における 重要なポイント」・・・外国編
 ・産学連携(共同研究)における「契約」の留意点 ・「共同研究契約」入門
 ・技術者のための技術関連契約の留意点 ・契約上の必須知識と実務ポイント
 ・中小・ベンチャー企業の経営トップ陣に知っておいて欲しい知財情報
 ・中小企業のものづくりに於ける知財戦略 ・知財戦略の基本
 ・ノウハウ獲得、維持、保護が企業が永続できる源泉、利益の源泉
 ・セキュリティ対策と、営業秘密と、不正競争防止法の基礎 ・日本企業が生き残る道
 ・有効特許を取得するために-我が社の生き残り策-
 ・知財の活用-世界の中で中堅、中小がビジネスで勝つ-
 ・知財力の向上-知財の蓄積、向上によりビジネスで勝つ-
 ・知財戦略の立案、策定方法と実務上の留意点
 ・弁理士との付き合い方 ・技術者のための“知財戦略”立案・策定ステップとマネジメント
 ・経営に役立つ、売り上げアップのための知財(特に、中小、中堅企業)
 ・海外展開における知的財産権の利用と活用 ・権利活用と、その前提
 ・知財権活用の8つの目的 ・知財が無くとも経営はできる、されど
 ・他社(客先/サプライヤ)との知財に関する利害調整 ・知財の方向について
 ・知財金融(ビジネス評価書) ・知財金融の仕組み ・知財評価と知財金融(ビジネス評価書)
 ・知財経営他について ・経営戦略と知財(特に意匠、商標) ・知財戦略の基本
 ・知財目的と知財戦略と職務発明規程 ・知財目的と商標(ビジネスに寄与、一体化)
 ・カンタンTRIZの概要 ・国際知財活用促進連盟(ii-pp)とは

(3)会社時代は年数回、退社後は年間5~10回前後の講演をしていた。昨年は、住んでいる地区の区長に選ばれて約1千時間のお勤めをした。主な仕事は諏訪圏で6年に1回行われる祭りである御柱祭。この祭りは、4月と5月。これが終わると諏訪圏の各地区で御柱と同様なお祭りである小宮祭が行われる。大体、8月~10月。この祭り対応で約400時間弱。普通の年だと500時間程であるが結果として合計2倍程度費やした。このため、各種の講演や知財窓口支援は事前に削減依頼をした。

(4)上記(2)に加え、最近の個別企業向けではない主な講演を追加記載する。
   技術情報流出を防ぐ契約の留意点
      2019年9月26日 ABC県知財総合窓口知財セミナー
   知的財産取引の動向や事例、一般社団法人国際知財活用促進連盟の活動
      2020年1月17日 XYZ県知財研究会
   契約上の必須知識と実務ポイント(株式会社情報機構)
      2020年3月17日
   技術者のための技術関連契約の留意点(株式会社テックデザイン)
      2020年6月17日
   知財戦略の立案・策定方法と実務上の留意点(株式会社情報機構)
      2021年5月18日
   予定:<研究開発に関する>契約上の必須知識と契約書作成の実務
      2023年5月25日 10:30-16:30 (株式会社情報機構)
     *申し込みは株式会社情報機構へ。講師のご紹介ですと
      受講料金が割引となる(税別で10,000円引き)。
      講師割引申込用の番号コードはS-834。「備考欄」記入。

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