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最近の著作権法改正のポイント
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著作物、実演及びレコードの保護期間の終期を各起算日から70年(以前は50年)に延長となったTPP11整備法の施行(2018年12月30日)後も、著作権法の改正が度々行われている。注目すべき主な改正としては、AIやIoTの進展に伴い著作権の及ばない範囲を拡張する改正(2019年1月1日施行済)と、違法コンテンツのアップロードサイトにリンク可能なリーチサイトやリーチアプリの規制を強化する改正(2020年10月1日施行済)と、違法ダウンロードの対象をあらゆる著作物に拡大する改正(2021年1月1日施行予定)と、を挙げることができる。以下、多くの改正事項の内の一部を例示したい。
1.AIやIoTの進展に伴い著作権の及ばない範囲を拡張する改正(2019年1月1日施行済)
(1)機械学習用に他人の著作物の収集を行う者(例えばA社)と、A社から依頼を受けて当該著作物を用いて学習済みモデルを作成する者(例えばB社)とが同一主体でない場合であっても、当該著作物の著作権者の承諾は不要となった。改正前では、同一主体であること、統計的な情報解析であること、記録媒体への記録又は翻案(元の著作物に依拠しつつ、これに改変を加えて二次著作物を創作すること)であることを条件として著作権者の承諾が不要だったが、改正によりこれら条件が撤廃された。
(2)第三者の依頼に基づき、ディープラーニングを用いて論文盗用有無の調査を行う調査サービス業者が、オリジナルの論文のテキストデータと他の論文のテキストデータとを照合して盗用の有無を調査し、その調査結果と共に、オリジナルの論文と当該オリジナルの論文の盗用箇所も付加して、依頼者である第三者に報告する場合、オリジナルの論文の著作権者の承諾は不要となった。
2.違法コンテンツのアップロードサイトにリンク可能なリーチサイトやリーチアプリの規制を強化する改正(2020年10月1日施行済)
リーチサイトとは、違法コンテンツをアップロードしたサイトのリンク先をまとめたサイトをいう。リーチアプリとは、主に公衆によって侵害著作物の利用のために用いられるアプリをいう。
3年ほど前に摘発され、昨年有罪判決が下されたリーチサイト「はるか夢の址(あと)」は、報道によれば、1年で700億円以上の被害を及ぼしたことは、記憶に新しい。本改正は、リーチサイト等を運営する行為を刑事罰の対象とすると共に、リーチサイト等に違法コンテンツへのリンクをはる行為に対して民事上及び刑事上の責任を問えるようにした。ただし、著作権者からの告訴を要件とする(親告罪)。
3.違法ダウンロードの対象をあらゆる著作物に拡大する改正(2021年1月1日施行予定)
現行法では、たとえ私的利用であっても、音楽と映像については、違法にアップロードされたものをダウンロードする行為は著作権侵害となっていた。来年1月1日から施行の改正著作権法では、音楽や映像に限定されず、漫画、書籍、論文、コンピュータプログラムなども含むあらゆる著作物を対象に、違法ダウンロードを著作権侵害として刑事罰が科されることとなる。海賊版対策強化の必要からである。
ただし、刑罰は、違法アップロードされたものであることを「知りながら」ダウンロードする行為を対象とする。また、微なレベルのダウンロードや二次創作・パロディなどは規制対象外となる。
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