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目次
1.意匠の国際出願について
2.中小企業と金融機関と知財
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パートナー・弁理士 長谷川 洋
(1)意匠の国際出願は、1925年(ハーグ協定)に始まり、1934年(ロンドン改正協定)、1960年(ハーグ改正協定)、1999年(ジュネーブ改正協定)を経て、現在に至る。日本では、2015年5月13日の正式発効により利用できるようになっ た。
(2)意匠の国際出願は、マドリッド・プロトコルに基づく商標の国際出願と類似した側面を有しており、世界知的所有権機関(WIPOという)にて、保護を求める加盟国を指定した国際出願が受理されて国際出願日が確定すると、指定された 当該加盟国について国際出願日と同一の出願日を得るという効果を生じる。加えて、指定された当該指定国の代理人を要せず登録を受けることができるため、出願人は費用の削減効果を得られる。
(3)その一方で、意匠の国際出願には、商標の国際出願とは異なる点もある。以下に、その主な相違点を挙げる。
a・・・国際出願に際して基礎となる国内意匠出願は不要である(商標の場合には必要)。
b・・・WIPOで国際登録後、出願人の請求によって、国際登録後速やかに、あるいは国際登録日から最長で30カ月経過後に、意匠を公表させることができる(商標の場合には、出願人の請求によって公表時期を変えられない)。
c・・・1つの国際出願に最大100までの意匠(ただし、ロカルノ国際意匠分類の同一の類に属することが条件)を含めることができる(商標の場合には1つの商標のみである)。
d・・・保護を求める指定国を出願後に追加不可(商標の場合には後で追加可能)。
(4)ここで、米国からの依頼案件について少し述べたい。昨年になるが、米国特許弁護士から、1件の意匠の国際出願に対して、日本国特許庁から拒絶の通知を受けたため、拒絶対応をお願いしたいとの依頼を受けた。この時の国際出願に は、複数個の意匠が含まれていた。日本は、一意匠一出願制度を採用しているため(例外:組物の意匠)、複数個の意匠を含む国際出願は、1つの出願のまま権利化できない。この拒絶を解消するには、複数個の意匠の内の少なくとも1つを 本意匠、その他を関連意匠とする複数の出願に分ける必要がある。この対応は難しくはなかった。
このときの対応で非常に手間を要したのは、米国特許弁護士から送られてきた優先権証明書に記載されている意匠図面と、国際出願中の意匠図面とが不一致であったことである。国際出願は、米国国内での4つの出願の優先権を伴っていて 、そのうち1つの意匠図面が他の3つの中の1つと同じだったのである。日本特許庁の審査官は、上記不一致が米国特許商標庁による優先権証明書の製本ミスなら良いが、米国特許弁護士側で優先権証明書をばらして再製本したような場合に は、優先権を認めないとのことであった。米国特許弁護士と連絡をとり、正しい意匠図面を有する優先権証明書を送ってもらい、最終的には問題は無かったが、非常に労を要した件であった。しかも、このときには、米国では認められている 意匠図面の記載方式が日本では認められないという別の問題も存在していた。最終的には、日本の審査官は、日本の意匠法に合致する図面への補正を認めてくれて、無事、意匠登録に至った。
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顧問・弁理士 渡邉秀治
(1)中小企業と特許
日本には、382万社の企業が存在。その中で。381万社(99.7%)が中小企業。 最近、資本金1千万円で従業員数が700人程の企業を発見したが、ここも中小企業に入る(資本金関係で)。補助金などの関係で政策的に中小企業に留まっている場合もあり。
日本における中小企業の特許出願件数の割合は、約15%。米国では、26%程度。欧州は28%程度。中国は70%以上(?)。
*1:日本の中小企業の定義は、製造業の場合は資本金3億円以下又は従業員300人以下、卸売業は1億円以下又は100人以下、サービス業は5千万円以下又は100人以下、小売業は5千万円以下又は50人以下。
*2:米国のスモールエンティティの定義は、個人、中小企業(500人以下)、非営利法人。
*3:欧州の中小企業の定義は、250人以下、売上高5千万ユーロ以下。
(出典)特許行政年次報告書2017(2016年実績)、USPTO調べ(2015年実績)、EPO調べ(2016年実績)
*4:中国国家発展改革委員会 李朴民 秘書長 “中国の中小零細企業は、企業数の99%を占め、発明専利の70%以上、新規雇用の80%以上、税収の50%以上、国内総生産の60%以上を創出”(出典)新華社通信 2017年11月29日報道
特許権を有する日本の中小企業の売上高営業利益率は4.2%、大企業の平均は3.2%、特許権を有していない中小企業は2.6%。日本出願に対する外国出願率は、大企業が約34%で、中小企業が約16%。製造関係の大企業の外国 出願率は、当方の感覚では、もう少し高い率と感ずる。
以上は、次の①②などを参照。
①特許行政が直面する課題 平成30年6月 特許庁、
②デザイン経営2018 データとネットワークが全てを飲み込む時代の経営
経済産業省・特許庁 産業競争力とデザインを考える研究会2018年5月21日
(2)金融機関と知財金融(下記は、知財金融ポータルなどを参照)
中小企業知財金融促進事業(平成27年度~)は、平成29年度末までに551件の知財ビジネス評価書が作成された。うち、融資を実行した金融機関は全国で39で件数は57件。一般社団法人国際知財活用促進連盟(当方、理事)は、昨年度から評価機関に選定され、昨年度の当連盟は、6件実施。
この事業の対象金融機関は、513機関か? 平成30年度は、これに加え、地域金融機関系のベンチャーキャピタルも応募が可能になった。
なお、この事業は、平成31年度から「知財ビジネス提案書」を提供するものに変更予定とのこと。金融庁が目指す「事業性評価」に更に沿うものとなる。
「下記の金融機関のうち、〇印が知財金融促進事業に応募が可能」
*都市銀行(普通銀行のうち、6大都市またはそれに準ずる都市を本拠として、全国的にまたは数地方にまたがる広域的営業基盤を持つ銀行):5行。
〇地方銀行(一般社団法人全国地方銀行協会の会員である銀行である。第一地方銀行と称される場合もある):64行(八十二銀行・山梨中央銀行・横浜銀行等)。
*信託銀行(「銀行業務」のほかに「信託業務」と「併営業務」を行っている銀行のこと):14行。
〇第二地方銀行(一般社団法人第二地方銀行協会の会員であり、金融庁の「免許・登録業者一覧」に於いて「地域銀行 / 第2地方銀行」とされた銀行:40行。
(神奈川銀行・長野銀行・東日本銀行・東京スター銀行等)。
〇信用組合(信用金庫と同じ協同組織の金融機関だが、根拠法や会員(組合員)資格が異なり、また、預金の受入れについても、信用組合は原則として組合員が対象だが、信用金庫は制限がないなど業務の範囲が異なる):148組合(小田 原第一信用組合・神奈川県歯科医師信用組合・甲子信用組合・信用組合横浜華銀・東京消防信用組合・東京都職員信用組合・東信用組合・長野県信用組合・文化産業信用組合等)
〇信用金庫(地域の方々が利用者・会員となって互いに地域の繁栄を図る相互扶助を目的とした協同組織の金融機関):261金庫(・朝日信用金庫・アルプス中央信用金庫・飯田信用金庫・上田信用金庫・青梅信用金庫・甲府信用金庫・さ がみ信用金庫・芝信用金庫
・湘南信用金庫・巣鴨信用金庫・諏訪信用金庫・西武信用金庫・世田谷信用金庫
・多摩信用金庫・東京信用金庫・東京シティ信用金庫・東京東信用金庫・長野信用金庫・松本信用金庫・山梨信用金庫・横浜信用金庫等)
*労働金庫:13金庫、ゆうちょ銀行:1行。
*農林中央金庫:1金庫、農業協同組合:476組合、農業協同組合連合会:26。
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