私たちが責任をもって特許取得をサポートします

MEBUKI IP Small Talk 9月号(2018年)

目次

1.欧州特許有効化手続と翻訳不要国

2.知財の誤解

__________________________________

1.欧州特許有効化手続と翻訳不要国

パートナー・弁理士 長谷川 洋

日本の出願人が欧州特許庁に特許出願を行い、めでたく特許登録となった後、出願人は、通常、欧州特許条約の指定国への有効化手続を行う必要がある。この有効化手続によって、出願人が希望する指定国で欧州特許の登録の効果が得られる。この手続きには、費用の支払い、指定国によって異なるが翻訳文の提出(翻訳文不要の指定国もある)等が必要になる。

しかし、有効化手続きが全く必要無く、自動的に有効化となる下記の指定国(9カ国)もある。下記URLを参照。
https://www.epo.org/law-practice/legal-texts/html/natlaw/en/iv/index.htm
(上記URLの「IV. Translation requirements after grant pursuant to Articl e 65 EPC」に、”Accordingly, the proprietor needs to take no action be fore the central industrial property office in espect of European paten ts granted for Belgium, France, Germany, Ireland, Luxembourg, Monaco, Sw itzerland/Liechtenstein or the United Kingdom.”とある。)
「9カ国」・英国 ・ドイツ ・フランス ・アイルランド ・ルクセンブルク ・スイス ・リヒテンシュタイン・モナコ ・ベルギー(2017年1月1日およびそれ以降に特許公報が発行された英語公報に限る。以下の URLを参照。)
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/europe/2017/20170104.pdf

ちなみに、上記9カ国は、英語でなされた欧州特許出願の場合に、明細書の翻訳を必要としない翻訳不要国でもある(2018年9月17日現在)。

有効化手続を欧州代理人に依頼しなくとも、欧州特許は上記9か国に関しては自動的に有効となる。例えば、イギリス、フランスおよびドイツにのみ欧州特許を有効化したい場合には、何らの手続きをしなくても良いということになる。

ただし、翻訳を要しない指定国への有効化手続は、欧州代理人よって違うが、EUR 200-400/国である。このため、上記9カ国に有効化手続を行わないことによる費用削減効果は、それほど大きくは無い。大きなメリットがあるとすれば、欧州特許成立時に有効化手続を行うつもりは無かったが、後から必要だと考えなおした指定国に上記9カ国の一部若しくは全部が含まれていた場合には、権利者は、幸運にも当該指定国において自動登録されていたという恩恵を受けることとであろう。

また、気をつける点としては、有効化したくない国に上記9カ国の一部又は全部が含まれている場合、特許維持年金を支払わないように、欧州代理人若しくは年金管理会社に指示をしておくか、あるいは自社で管理しておくことを挙げたい

___________________________________

2.知財の誤解

顧問・弁理士 渡邉秀治

40年の長きに渡り、知財業務を行ってきた中で、いろんな誤解が巷には流れている。下記は、その一例。

①特許出願は、レベルの高いものを出す。
②特許出願したら安心。
③特許活動は、保険のようなもの
④日本への出願(特許、商標)をすればよい。
⑤特許は、技術者の中の優秀な人が取るもの。
⑥発明者は、自分の発明について自由に実施できる権利を持っている。
⑦実施しているアイデアが特許の公報に出ているので中止しなきゃ。
⑧特許対象は、日本、中国、米国で大きな違いはない。
⑨知財権にした方がノウハウにするより良い。
⑩特許が最も重要で商標は価値が低い。
⑪特許出願は、ある程度形式が備わっていれば、安い費用の方が良い。
⑫海外への出願は、人口の多い国へ出すべき。
⑬「AAA」商標が他人に権利化されたので、 「AAA」商標は使えない。
⑭「クリーニング」や「さくら肉」などの一般名称は、商標権を取得できない。
⑮意匠権は、少し形状を変えたら非侵害になるので弱い権利だ。
⑯商標は、計画が具体的になったら、出願するのが良い。
⑰自社の特許権や商標権を活用しなくなったら年金支払いを直ちに中止すべき。

何故なのかが不明な方は、渡邉までお問い合わせを。
watanabe@mebuki-iplf.jp

_________________________________

CopyRight (C) MEBUKI IP Law Firm
社内用・社外用を問わず無断複製(電子的複製を含む)を禁ずる