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HASEGAWA IP Small Talk 4月号(2017年)

1.特許法条約(PLT)の大きなメリット

2.知財戦略の講演

発行:長谷川国際特許事務所

※本メールマガジンは弊所のお客様およびお名刺交換をさせていただいた方を対象に送付させていただいております。

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1.特許法条約(PLT)の大きなメリット    所長・弁理士 長谷川洋

2016年6月11日に、わが国も、特許法条約(以後、「PLT」と略。)の発効に至ったことは記憶に新しいと思う。
拒絶理由通知への応答期限の延長など、様々な緩和条項がある中、出願審査請求時期の徒過については、欧州などに比べるとまだまだ厳しく、そう簡単には期限経過後の出願審査請求はできないのが現状である。

すでにご存じの方も多いとは想像するが、PLTの発効により、実務上大きなメリットを1つ挙げたい。

それは、国内優先権主張(特許法第41条)である。

従来は、優先権の基礎となる出願Aから1年以内に、追加内容を盛り込んで国内優先権主張を伴う出願Bを行う場合、出願Aに含まれていた化学式、表あるいは図面を欠落した状態で出願Bを行ってしまうと、原則(ほぼ100%だと思う)、補充はできなかった。

しかし、PLT発効後は、上記のような欠落があっても、出願Bの願書に、出願Aの出願日と出願番号が記載されている限り、国内優先権の利益を損なうことなく、出願Bの後に、欠落した化学式、表あるいは図面を補充できる。参考までに下記URLにアクセスし、p31/34をご覧いただきたい。

URL:https://www.jpo.go.jp/torikumi/ibento/ibento2/pdf/h27_tokkyo_video/shiryou.pdf

国内優先権は、出願Aから1年以内に行う必要があるため、期限ぎりぎりで出願Bを行うと、不幸にも、化学式や表を貼り忘れたり、10枚の図を貼り付けるところを、1枚重複させた状態で貼り付けるような事故もあり得る。特に、化学式や表は明細書中に挿入されることが多いので、挿入し忘れるといった事故が多発しやすいとも言える。ちなみに、私は、化学式、計算式などは、明細書中のみならず、図面上にも記載しておくようにしている。これは、日本の出願に基づきパリ条約優先権を主張して外国出願する場合、外国代理人が式を入れ忘れることの保険の意味である。

話はそれたが、上記のようなミスがあっても、PLT発効後においては、欠落した図等を補充出来る。さらには、明細書の一部が欠落若しくは文字化けしていたとしても、その記載が出願Aに存在していれば修正可能である。しかも、このような修正によって、出願Aの優先権も、出願Bの出願日確保も一切損なうことはない。ただし、欠落した図等の補充は、無期限でできるわけではない。特許庁長官からの補充指令後の一定期間(省令で定める期間)に限られている。通常、よほど大きな欠落が無い限り、特許庁長官からの補充指令はないはずだから、自ら気づいて、自発的に補充し、若しくは特許庁に補充指令の通知を出してもらうといった能動的な対応が必要がある。よって、気を付けなければならないのは、欠落に気付かずに長期に放置してしまうことである。国内優先権を主張して出願Bを行った後は(もちろん、出願Bを行う前にチェックする)、必ず、式、表、図等の欠落がないかどうか、念のため確認すべきである。もしも欠落があって、かつ出願Aから1年を超えてしまっていれば、迅速に補充の対応をとるべきである。

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2.知財戦略の講演          オフ・カウンセル 弁理士 渡邉秀治

当方、今年5月18日に株式会社情報機構のセミナー講師として東京にて講演をすることになりました。去る3月23日に引き続いて行うもの。内容は、前回は契約関係でしたが、今回は知財戦略、戦術に関するもの。詳しくは、下記のHPを参照いただきたく。http://www.johokiko.co.jp/seminar_chemical/AC170510.php

なお、講師の紹介ですと、申し込み料金が割引となります。参加いただける方や参加の検討されている方が近くにおられましたら、割引用申し込み用紙(PDF)をメール添付にてお送りいたしますので、遠慮なく、下記メルアド宛にご連絡いただきたく。
h-watanabe@mebuki-iplf.jp

今回の当方の考え方、内容は以下のとおり。「企業知財実務22年(内知財トップ8年)、特許事務所経営22年の中で実施してきた知財戦略、その間に交流した企業の知財戦略、弁理士としてコンサルティングをした企業の知財戦略を踏まえて、知財戦略のポイントをお話します。
また、競争環境が一段と厳しくなっている現環境下では、権利活用やブランディングが極めて重要になってきました。権利活用は、模倣防止だけではありません。また、戦略と戦術を混在させている例が多いのが実情です。戦略をきっちりたてて、その下に戦術があります。さらに、国内のみを考慮する戦略は間違いです。」

過去の講演内容などを確認しながら、また最近の知財コンサル事例を見ながら現在、一生懸命まとめています。過去40年の集大成をまとめるつもりであり、また一度は、しっかりまとめておきたかったのでいい機会と思っています。

追伸 3月23日の契約関係の講演では、17名の方にお集まりいただき、感謝申し上げます。

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