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1.米国特許商標庁によるFinal Office Action後の新プログラムの運用を開始
2.知財金融-中小、中堅企業に手をさしのべる施策となるか?
発行:長谷川国際特許事務所
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a)意見書で争うか、
b)制限的な補正を行った上で意見書にて争うか、
c)継続審査請求(RCE)と新規事項を追加しない補正とを組み合わせて行うか、
d)審判を請求するか、
e)AFCP2.0をまず申請して審査官の見解を得るか、
といった選択肢しかなかった。
最も一般的な選択肢は、b)+c)、e)+c)、e)+b)+c)といったところであろう。
a)やb)のみでは最終拒絶が確定してしまうため、通常は、c)またはd)も行う。
ここに、P3という新たな選択肢が加わったのである。審判請求とRCEの件数を低減する狙いのようである。
P3の申請要件は、(1)~(6)のとおりである。
(1) Final Office Action通知から2カ月以内に申請すること。
(2) AFCP2.0の申請、あるいは審判請求を行っていないこと。
(3) オフィス・フィは不要。
(4) 5ページ以内の意見書を提出可能。
(5) 少なくとも1以上のクレームにつき拡張しない補正が可能(AFCP2.0と異なり、補正は必須ではない)。
(6) 担当審査官以外の他の審査官とも電話等の口頭による質疑が可能(ただし、20分以内)。
注目すべきは、担当審査官のみならず、他の審査官(通常は担当の上司にあたる)にも電話等で質問し、あるいはアドバイスをもらえる点である。 筆者は、AFCP2.0を、米国代理人を通じて行ったことは何度かあるが、今度は、機会があれば、P3も行ってみたいと考えている。
ただし、P3は、2016年7月11日~2017年1月12日までの約6カ月の期限付きのプログラムであり、1600件の受理で終了するようである。
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オフ・カウンセル 弁理士 渡邉秀治
三菱UFJリサーチ&コンサルティングに非常勤として勤務させていただいてから知財金融に関わり、それ以後、関心を持っている。以下に、過去と現在の状況を示させていただく。最近の動きは金融庁と連動しており、知財に長年携わってきた当方としては、知財が中小、中堅企業にとって実際に役立つ時代が到来するのではと思っており、とても楽しみ。
2-1.知財金融の過去の経過
(1)2000年頃
①知財担保融資が開始され始めた。
日本政策投資銀行による知財担保融資の実績は,310 件,210 億円(1995年~2008 年3 月の累計(*15)),民間金融機関による知財担保融資は26件,21 億円(累計ではなく,2007 年3 月時点の残高ベース)となっている(*16)・・・知財担保融資の将来性~中小企業の知的資産経営と金融機関~
パテント 2015-90-Vol. 68 No. 5
博士(工学)・東京大学大学院/技術経営戦略学 藤原綾乃
*15:土生哲也『投融資実務の決め手「知的財産」の分析手法』中央経済社(2003年11月)
*16土生哲也『知的財産のしくみ』日本実業出版社,2007年
②この知財担保融資は、現在では、中国が急拡大している。「国家知的財産権戦略の実施強化に関する行動計画(2014~2020年)」では、2020年には年間1,800億元(2.7兆円)に引き上げるとしている。
(2)最近の二大施策
①知財金融(ビジネス評価書)
経済産業省、金融庁(財務省)、特許庁・・・知財を切り口に事業性評価
http://chizai-kinyu.jp/
②知的資産経営報告書
経済産業省主体(近畿が注力)、特許庁http://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/
http://www.kansai.meti.go.jp/2giki/chitekishisan/chiteki_top.html
2-2.知財金融(ビジネス評価書)
(1)金融庁は、平成26事務年度の金融モニタリング基本方針を平成26年9月11日に公表した。そこには、「事業性評価」というキーワードが載っている。
「金融モニタリング基本方針の一部」
{2.事業性評価に基づく融資等・・・。こうした中、金融機関は、財務データや担保・保証に必要以上に依存することなく、借り手企業の事業の 内容や成長可能性などを適切に評価し(「事業性評価」)、融資や助言を行い、企業や産業の成長を支援 していくことが求められる。また、中小企業に対しては、引き続き、きめ細かく対応し、円滑な資金供給等 に努めることが求められている。金融庁としては、この面での金融機関の経営姿勢、企業の事業性評価への取組み、企業に対し現実に いかなる対応を行っているか等につき、検証を行っていく。 }
(2)この金融庁の方針に連動するような形で動いているのが、特許庁が支援している知財ビジネス評価書作成支援制度(金融機関が応募する制度で無料)。2年目の平成27年度は、応募銀行は63行で、評価対象企業は150社。今年も多数の銀行が応募している模様。
2-3.知的資産経営報告書
(1)知財ビジネス評価書と親戚関係となるのが、この報告書。どちらも金融機関が応募(無料)。ということは、融資に関わるものと言える。知的資産という概念は、知財の上位概念で、「知的資産>知財>知財権」という関係になる。
知的資産経営報告書は、近畿経済産業局が非常に力を入れている事業。
(2)作成(応募)件数は、以下のとおり。2005年~2006年14社、2007年19社、2008年31社、2009年40社、2010年73社、2011年88社、2012年74社、2013年34社。近畿経済産業局は、2014年31社、2015年12社、2016年7社。
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