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日本では、(1)補正のできる時期(拒絶査定不服審判請求と同時も含む)、(2)拒絶査定から3カ月以内、(3)特許査定から30日以内で且つ特許権設定登録前に限って、原出願から新たな分割出願を行うことができる(特許法第44条)。
分割出願を行う場合、第1の留意すべき点は、拒絶査定後に前置審査あるいは不服審判に移行した後に特許査定(若しくは特許審決)がされた場合には、上記(3)特許査定から30日以内で且つ特許権設定登録前の分割出願は不可である点である(特許法第44条第1項第2号かっこ書き)。
拒絶査定を受けた後、将来、より広い権利化を図りたいと考える場合には、拒絶査定から3カ月以内、若しくは拒絶査定不服審判請求と同時に、分割出願を行うのが良い。これが分割出願の最後の機会になる可能性が高いからである。
また、第2の留意すべき点は、(2)拒絶査定から3カ月以内及び(3)特許査定から30日以内で且つ特許権設定登録前に行う分割出願の場合には、上記(1)の時期と異なり、出願当初の記載範囲であることに加え、直前明細書等の記載範囲で行う必要がある点である。よって、審査過程で補正によって削除を行うことをなるべく避けることと、出願当初明細書には、必ず、出願当初クレームと同じ記載をどこかに入れておくことが重要である。
欧州では、特許出願がEPOの審査に係属している間、分割出願が可能である(Rule 36(1) EPC)。 分割出願の時期として留意すべき点は、特許付与の認可通知(Rule 71(3) EPC、以後、「認可通知」という。)を受けた後、いつまで分割出願可能かということである。
認可通知後4カ月以内に、出願人は、欧州特許庁における3種公用語の内の残り2種類の公用語に翻訳されたクレームの提出と、登録料や公報発行に要する所定料金の納付とを行う必要がある(Rule 71(5) EPC)。当該手続完了後、1カ月以内に特許公報が発行される。出願の係属は公報発行前までをいう。このため、翻訳クレームの提出と料金納付を期限ぎりぎりにすれば、少なくとも認可通知から4カ月間は、分割可能な期間とすることができる。ただし、逆に、翻訳クレームの提出等を早く行ってしまうと、特許公報の発行が早まり、1若しくは2カ月くらいの分割出願可能期間しかない。
したがって、分割出願を用意するために十分な時間を必要とする場合には、翻訳クレームと料金納付を、認可通知後4カ月の期限ぎりぎりに行う方が良い。
中国では、(1)特許出願が審査係属、復審(=審判)係属若しくは審決取消訴訟係属中、(2)拒絶査定受領日から3カ月以内、(3)特許許可通知発行から2カ月以内に、分割出願を行うことができる(実施細則第42条及び第54条、審査指南第1部分第1章5.1.1)。
留意すべき点は、原出願から分割出願した後、分割出願をさらに分割する場合には、原出願の特許許可通知発行から2カ月までの期間でなければならないことである。したがって、原出願の特許許可通知を受け取った場合に分割出願を行う場合には、分割出願の最後の機会を考えた方が良い。ただし、審査官から出願の単一性違反を指摘された場合には、例外的に分割出願できる。