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欧州特許許可通知以後の手続きの流れ

   

欧州特許出願が欧州特許庁(以後、EPOという)の実体審査を経て拒絶理由の存在しない状況になると、EPOは、欧州特許許可通知(正式には特許登録意向の通知:Intention to Grantという)を出願人に発行する。出願人は、分割出願を希望する場合には、欧州特許登録の前日までに行う必要がある。当該通知以後、主な手続きは以下の流れで進行する (図1)

1.特許登録料の納付&クレームの翻訳文の提出(出願人による手続)
出願人は、当該欧州特許出願の登録及び所望の各指定国への移行を希望する場合には、この通知から4カ月以内(延長不可)に、特許登録料(公報発行料も含む)をEPOに納付すると共に、クレームの他2種のEPO公用語への翻訳文をEPOに提出する必要がある。EPO公用語は、英語、ドイツ語およびフランス語の3種類である。例えば、特許出願書類が英語で作成されている場合には、出願人は、クレームをドイツ語とフランス語に翻訳してEPOに提出する必要がある。

2.欧州特許登録決定の通知(EPOによる手続)
上記1.の手続きが完了した後、EPOは、欧州特許登録決定の通知を出願人に発行する。当該通知は、特許登録を行う予定である旨の通知であり、この段階では欧州特許は登録されていない。

3.欧州特許登録&欧州特許公報の発行(EPOによる手続)
上記2.の通知の約1月後、欧州特許が登録となり、欧州特許公報が発行される。欧州特許公報発行の日(=欧州特許登録日)は、第三者からの異議申立期間の起算日となる他、各指定国への移行手続期間の起算日となる。

4.指定国への移行手続
欧州特許の特許権者は、欧州特許登録の日から原則3月以内に、所望の指定国への移行手続きを行う。指定国は、特許書類の翻訳要否別に大別して、おおよそ以下の4種類に分けられる。翻訳の要否 (表1)は2018年9月現在の状況であり、その後変わる可能性がある点を了解いただきたい。各指定国への移行手続の詳細については、 https://www.epo.org/law-practice/legal-texts/national-law.htmlの“HTML version (regularly updated)”を開き、“IV. Translation requirements after grant”より国を選択して確認できる。

Aグループ: クレームおよび明細書(図も含む)の両方とも翻訳不要な国

ベルギー,
スイス,
ドイツ,
フランス,
イギリス,
アイルランド,
リヒテンシュタイン,
ルクセンブルク,
モナコ

Bグループ: クレームのみ翻訳を要する国

アルバニア(アルバニア語),
リトアニア(リトアニア語),
ラトビア(ラトビア語),
マケドニア(マケドニア語),
スロベニア(スロベニア語)

Cグループ: 明細書(図も含む)のみ翻訳を要する国

オーストリア(ドイツ語),
ブルガリア(ブルガリア語),キプロス(ギリシャ語),
チェコ(チェコ語),
エストニア(エストニア語),
スペイン(スペイン語),
ギリシャ(ギリシャ語),
イタリア(イタリア語),
マルタ(英語*),
ポーランド(ポーランド語),
ポルトガル(ポルトガル語),
ルーマニア(ルーマニア語),
セルビア(セルビア語),
スロバキア(スロバキア語),トルコ(トルコ語)

Dグループ: クレームおよび明細書(図も含む)の両方とも翻訳を要する国

デンマーク(クレーム-デンマーク語、明細書-英語*若しくはデンマーク語),
フィンランド(クレーム-フィンランド語、明細書-英語*若しくはフィンランド語),
クロアチア(クレーム-クロアチア語、明細書-英語*),
ハンガリー(クレーム-ハンガリー語、明細書-英語*若しくはハンガリー語),
アイスランド(クレーム-アイスランド語、明細書-英語*若しくはアイスランド語),
オランダ(クレーム-オランダ語、明細書-英語*若しくはオランダ語),
ノルウェー(クレーム-ノルウェー語、明細書-英語*若しくはノルウェー語),
スウェーデン(クレーム-スウェーデン語、明細書-英語*若しくはスウェーデン語),
サンマリノ(クレーム-イタリア語、明細書-イタリア語)

*欧州特許が英語で出願されている場合は、翻訳不要である。

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