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特許出願・審査係属中の留意点

1.特許出願時の留意点

(1)出願書類の言語の問題

中国では、中国語(中文)以外の言語で特許等の出願を行うことを許容していない。したがって、パリ条約上の優先権を主張して中国に特許出願する場合には、中文への翻訳を準備する期間を十分に確保しなければならない。

(2)発明が中国で生まれた場合

中国は、中国で生まれた発明について、最初に中国に特許出願するか、あるいは他国に先に出願する必要がある場合には事前に部門の了承を得ることを要求している。ここで留意するべきなのは、中国で発明が生まれることが前提であるため、発明者が中国人であるかどうかは問わない。日本企業から派遣された日本人が中国の関連企業に出張している期間に発明を完成させた場合でも、その発明は中国で生まれた発明である。

(3)PCT出願の中国国内移行

移行期間は、優先日から30カ月以内である。翻訳文は、中国国内移行時に提出する必要がある。ただし、優先日から30カ月を経過しても、優先日から最長2カ月以内に、中国国内移行を行うことができる。これは、移行期間の延長ではなく、回復という。翻訳期間が短くて、優先日から30カ月以内に翻訳文を提出できなくても、2カ月の猶予がある。

(4)実体審査請求の期間

特許出願の場合、実体審査請求期限は、優先日から3年以内である。優先日は、出願日と同一ではないことに留意する必要がある。例えば、日本国内の特許出願を基礎とするパリ条約上の優先権を主張してPCT出願を行い、その後、中国に国内移行手続きを行った場合、実体審査請求期限は、PCT出願の出願日ではなく、元の日本国内の特許出願の出願日から起算して3年以内となる。

2.審査係属中の留意点

(1)厳しい補正要件

中国特許出願の補正の内容的制限は、日本のそれよりも厳しい。拒絶の対象となっていないクレームの補正はできない。また、拒絶を解消するために必要な補正しか認められない。例えば、出願時のクレーム内に無用な限定が存在することに、審査係属中に気付いたとしても、その限定部分が拒絶理由に関係ない場合には、自発的にその限定部分を削除することはできない。このため、クレームのドラフティングには、十分に留意するのが良い。

(2)もっと厳しい訂正要件

特許後の訂正は、日本のそれよりも極めて厳しい。請求項の削除、若しくは複数の請求項の合体を目的とする補正しか認められない。このため、無効審判を請求された場合、クレームの内容を明細書中の構成要件にて減縮したい場合でも、それはできない。したがって、中国特許出願の場合には、出願時若しくは審査係属中に、多種の構成要件で限定した多くのクレームを用意しておくほうが得策である。