放送のスーパーJチャンネル(テレビ朝日)にて、弁理士渡邉秀治が「大迫半端ないって」の商標登録についてコメントしました。
2018年6月26日投稿
顧問・弁理士 渡邉秀治
テレビ朝日からのコメント依頼は、今回で8回目である。過去は、スタジオで録画したこともあったが、最近は、電話コメントが多くなった。
6月26日の昼頃電話があり、大筋の説明を受け、午後1時に正式な回答を録音しますので、ということだった。その時は、不使用取消審判提起の可能性と、商標的使用の問題について、少し説明した。その後、1時頃、再び電話があり、1時半にしたいとの電話があった。そして、午後1時半に電話があり、20分程度回答した。その折は、当日の午後5時頃、「大迫半端ないって」の商標登録がされていた件を当方のコメントを交えて放映されるとのことだった。
当方は、6月26日には、中国の友人を霧ヶ峰観光で案内していた。昼頃は、車山かたで、レンゲツツジやニッコウキスゲ(まだ少なかった)を見ていたとき、昼食場所で、早速、スマホにて対象商標が以下のものであることを確認した。
・商標登録第5711702号:登録日は平成26年10月24日。
・いわゆる標準文字と言われる形態のもので、「OSAKOHANPANAITTE」と一連に英文字で表示。
・商標権者:塩崎 裕也。
テレビ局のディレクター(電話者)さんの説明では、Tシャツについて、権利者は知り合いや自分でこの商標を使用しているとのことだった。
しかし、説明では、「OSAKO」が一番上に記載され、次に図柄が表示され、その下に「HANPANAITTE」が記載されているもの(最後のこの文字がさらに2段にされているとの話?)とのこと。
この表示方法(商標を分けて、しかも途中に図柄がある状態で表示)は、登録されている商標とは異なるので、不使用取消審判提起の可能性があることを説明した。
また、商標登録第5711702号は、5年分の支払いしかしていないので、権利が5年で消滅する可能性があることを説明した。
さらに、Tシャツの全面に、上記のように、商標を分けて、しかも途中に図柄がある状態にて表示する場合、過去の判例から、デザインであり、商標的使用にならず、塩崎氏の使用形態で誰かが使用した場合も、商標権侵害にならない可能性が高いことを説明した。ただし、不正競争の面では不法行為となるリスクがあることも説明した。
商標的使用の典型例は、Tシャツの場合、首の後ろに来るタグへの表記や胸ポケットへのマーク標記が該当する。Tシャツの全面に大きく表示する形態は、形式的には、商標権侵害であるが、訴訟になれば、商標的使用ではなく、デザインであると判断される可能性が極めて高いと説明した。
商標の類似は、外観、観念、称呼の3つの観点で判断する。カタカナだけ、ひらがなだけ、又は平仮名や漢字まじりにしたものは、登録商標「OSAKOHANPANAITTE」との比較において、外観では非類似となり、観念については、どのような観念が登録商標から生じるかが微妙であり類似となるか非類似となるか判断がつかず、称呼では類似となる可能性が高くなることを説明した。なぜなら、称呼の場合、登録商標をどこで切って呼ぶかは微妙であるが、これだけ「大迫 半端ないって」が有名になると、登録商標「OSAKOHANPANAITTE」は、「おおさこ はんぱないって」と読む人が多いと思われるため。
霧ヶ峰観光を終え、家に4時頃帰った。テレビをつけ、録画設定をして放映を待った。しかし、警官のけん銃を奪い、小学校へ入ろうとした事件が起き、その放映で、時間が無かったようで、放映はされず、録画は、あきらめた。
しかし、ディレクターさんから電話が入り、放映は、午後6時54分頃になるとのことだった。ところが、当方は、東京へ行くため、6時半には家を出なければならず、録画を妻に委託した。
録画状況は、現在、確認していないが、あくる日、グーグル検索でJCC株式会社の「最新のTV情報」に当方がコメントしていることが記載されているホームページを発見した。非常に簡単化されたコメントが掲載されていた。このように、コメントは、いつもコンパクト化される。
しかし、いつも思うのだが、コンパクト化は、かなり優秀な人が行っておられるようで、重要ポイントが上手に示されていると感ずる。