各国IP情報「欧州」2010年EPC規則改正の概要

各国IP情報「欧州」2010年EPC規則改正の概要

1.分割出願時期の制限(Rule 36(1))

改正前は、出願が欧州特許庁(EPO)に係属している限り、いつでも分割可能であった。

 改正後は、出願がEPOに係属中であり、かつ以下のいずれかの期間に限り、分割出願ができるように制限されることになった。

(a)ファミリー中の最先の出願(分割対象の出願に限られず、最先の出願)に対する審査部門によるOfficial Communicationの発行日から24カ月以内

(b)分割対象の出願に対して、審査部門が単一性違反である旨のOfficial Communicationを発行した日から24カ月以内

2.サーチレポート&サーチオピニオンへの応答義務化

改正前は、サーチレポート&サーチオピニオンに応答することは義務化されていなかったが、改正後は、義務化される。

 PCT出願を欧州に移行した場合(Euro-PCT)であってEPO以外の機関が国際調査機関(ISA)であるケース、EPOがISAであるケース、およびPCTを経由しない欧州特許出願のケースの3種類のケースにより、応答期間が異なる。

(1)EPO以外の機関がISAの場合
特許性を否定する拡張欧州調査報告書(EESR)の送達後、所定期間(現行:6カ月)以内に、応答しない場合には、その出願は取り下げられたものとみなされる(Rule 70a(2))。

(2)EPOがISAの場合
国際段階でISRが送達されているので、欧州移行後に再度の調査報告書の送達は行われない。この場合、ISRが特許性を否定するものである場合、EPOから送達されるRule 161/162に基づく通知に対して1カ月以内(延長不可)に応答しなければ、その出願は取り下げられたものとみなされる(Rule 161)。

(3)PCTを経由しない欧州特許出願の場合
EESRの送達前までに出願審査請求を行っていない場合には、特許性を否定するEESRに対して、出願審査請求期限までに応答しなければ、その出願は取り下げられたものとみなされる(Rule 70a(1))。
EESRの送達前までに出願審査請求を行っている場合には、特許性を否定するEESRに対して、審査続行の意思表示確認通知への応答期限内(現行:6カ月)に応答しなければ、その出願は取り下げられたものとみなされる(Rule 70a(2))。

3.自発補正時期の制限(Rule 137)

改正前は、EESR送達後でも、その応答期間経過後に自発補正できたが、改正後は、それが制限される。
Rule 161/162が発行される場合には、その応答期間内に自発補正できる。EESRが発行される場合には、その応答期間内に自発補正できる。その後、審査官の承諾なしに自発補正はできない。
EPOがISAの場合、EESRは発行されないので、Rule 161/162への応答期間内を逃すと、拒絶理由を通知するOfficial Communicationが発行されるまで、自発補正の機会はない。また、PCTを経由しない欧州特許出願の場合、Rule 161/162が発行されないので、EESRへの応答期間を除き、拒絶理由を通知するOfficial Communicationが発行されるまで、自発補正の機会はない。

欧州特許規則改正後の分割出願制限・応答義務化・自発補正制限一覧

EPC Rule改正(一部を除き、2010年4月1日施行)

主な改正項目 PCT出願の欧州移行(Euro-PCT) 欧州特許出願
EPO以外がISAの場合 EPOがISAの場合
分割出願の時期的制限Rule 36(1) 以下の(a)若しくは(b)のいずれの日から24カ月以内であって、分割すべき元の出願がEPOに係属している場合に限り、分割出願が可能である。
(a)ファミリー中の最先の欧州特許出願に対する審査部門によるOfficial Communicationの発行日。
(b)分割すべき元の出願に対する審査部門による単一性違反である旨のOfficial Communicationの発行日。
調査報告書に添付される見解書への応答の義務化Rule 70a, 161 特許性を否定する拡張欧州調査報告書(EESR)に対して、審査続行の意思表示確認通知への応答期限(6カ月)までに応答しなければ、出願は取り下げられたものとみなされる(Rule 70a(2))。 EPOがISAとして作成した国際調査報告書(注)に添付されている見解書が特許性を否定するものである場合、Rule161/162に基づく通知に対して、1カ月以内(延長不可)に応答しなければ、出願は取り下げられたものとみなされる(Rule 161)。
(注)欧州移行後に、欧州調査報告書は作成されないことに留意。
① EESRの送達前までに出願審査請求を行っていない場合:
特許性を否定するEESRに対して、審査請求期限(延長不可)までに応答しなければ、出願は取り下げられたものとみなされる(Rule 70a(1))。
② EESRの送達前に出願審査請求がされている場合:
審査続行の意思表示確認通知への応答期限(6カ月)までに応答しなければ、出願は取り下げられたものとみなされる(Rule 70a(2))。
自発補正の時期的制限Rule 137 EESRの受領前は、次の(a)の機会に自発補正ができ、EESRへの応答期間経過後に自発補正を行う場合、審査部門の同意を要する。
(a)補正の機会を付与するRule 161/162に基づく通知から1カ月以内(延長不可)。
次の(a)の機会に自発補正ができ、それ以後に自発補正を行う場合、審査部門の同意を要する。
(a)補正の機会を付与するRule 161/162に基づく通知から1カ月以内(延長不可)。
EESRの受領前は、補正できず、EESRへの応答期間経過後に自発補正を行う場合、審査部門の同意を要する。
(a)EESRへの応答期間内(延長可)。

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