HASEGAWA IP Small Talk 3月号(2017年)

1.人工知能(AI)関連情報(後編)
2.契約の講演と、秘密保持契約の注意点(4)
発行: 長谷川国際特許事務所
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1.人工知能(AI)関連情報(後編)               所長・弁理士 長谷川洋

先月の前編では、米国IBMのWatsonについて紹介した。
今月は、まずは、Watsonに関係する米国特許について紹介して、今や自動車にも力を入れている米国Googleにも触れたい。
(1) IBM
IBMは、20年以上、米国の特許出願第一位の座を守り続けている企業である。2016年のデータ
http://www.ificlaims.com/index.php?page=misc_top_50_2016
によれば、IBMは、2016年に8088件の米国特許を取得し、韓国のサムソン(2位、5518件)、日本のキヤノン(3位、3665件)を大きく引き離している
といっても、8000件以上もの米国特許の全てが人工知能に関連した特許というわけではないが、その25%相当の約2000件が人工知能およびクラウド関連技術の特許である。

IBMによれば
http://www-03.ibm.com/press/us/en/pressrelease/48785.wss
先に紹介したWatsonにとって中核をなす重要な特許は米国特許第9,117,446号と米国特許第9,146,917号である。

US9,117,446
https://patents.google.com/patent/US9117446B2/en
は、IBMの中国ラボでなされた発明であるため、最初に中国で出願されて(CN201010271135.3)、その後に米国で特許出願された後、登録になった。この特許は、感情的な言葉をコンピュータが理解するのをサポートするシステム(その実体は、コンピュータプログラム)に関する。

US9,146,917
https://patents.google.com/patent/US9146917B2/en
は、ユーザに質問をして、次にユーザからの返答を受け取って、その返答から、ユーザが人間なのか機械なのかを判断する方法に関する。

(2) Google
人工知能の開発に力を注いでいるトップ5の米国企業は、Microsoft、Google、Apple、Amazon、Facebookである(下記URL参照)。URL:
https://www.cbinsights.com/research-apple-google-patents-report?utm_source=Direct

Microsoftは、もはやOSソフト「Windows」を開発するだけの企業ではない。Googleは、もはや検索エンジンを開発するだけの企業ではない。Amazonは、もはやインターネットによるブックセラーというだけではない。上記5社のいずれも、未来を見据えたAI開発企業である。

ここに、おもしろい統計がある(下記URL参照)。URL:
https://www.patentresult.co.jp/news/2016/09/autonomous-car.html
自動車に関する特許出願の多い企業に関する統計である。この統計を単純に見ると、日本のトヨタ自動車がトップを走っていることがわかる。しかし、自動車などおおよそ開発しているとは思えない企業も、トヨタに迫っている。その企業こそ、Googleである。

Googleは、自動運転の自動車の開発にかなり力を入れており、その技術に関連する特許出願も数多く行っている。その一つに、US2016/0252905(下記URL参照)がある
https://patents.google.com/patent/US20160252905A1/en

これは、自動運転走行からは遠い技術ではあるが、自動走行に必要な一技術とは解釈できる。この出願は、緊急車両が近づいてきたときに、そのライトの色から緊急車両(救急車、パトカー、消防車など)を判別する技術に関する。しかし、この特許出願は、何度かの拒絶理由通知を経て、放棄に至った。

また、AIとは関係ないが、自動車に関して、Googleの面白い特許(US9,340,178:下記URL参照)がある
https://patents.google.com/patent/US9340178B1/en
請求項1を下記に紹介する。この特許発明は、自動車のフロント部分に、接着層、空気層、コーティング層の多層領域を形成しておき、人間等を誤ってはねた後に、人間が自動車や地面での二次衝撃によって命を失わないように、いっそのこと、はねた自動車の前面部に人間等を貼り付けてしまおうという発明である。実現性はともかくとして、着想としてはおもしろい。自動車の外にエアバッグを設けて、はねた人間が自動車上で大きな衝撃を受けるのを防止する技術はよく知られているが、接着してしまおうというのは、著者は聞いたことがなかった。
(米国特許第9,340,178号の請求項1)
A system for protecting a colliding object from a secondary impact, after an initial impact with a vehicle, comprising:a vehicle having a front end,an adhesive layer positioned on the front end of the vehicle;a coating positioned over the adhesive layer;wherein one or more layers of air are positioned between the coating and the adhesive layer; and wherein, upon the initial impact between the colliding object and the vehicle, the coating is broken exposing the adhesive layer to adhere the colliding object to the adhesive layer during the initial impact.

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2.契約の講演と、秘密保持契約の注意点(4) オフ・カウンセル 弁理士 渡邉秀治

当方、今年3月23日に株式会社情報機構のセミナーの講師となった。3/17現在、14名の受講者。内容は、契約の基礎と技術関係契約のポイント(対象は、技術者様や法務関係者様)。内容は、以下の通りで、関心項目があれば、有料ですが皆様の会社に別途お伺いし講演することも可能。

1.練習問題(実務的な問題、契約の基本となる問題を10問程度行う)
*回答は、講演の中で随時行うと共に、最後にまとめて行う。

2.契約とは(英米の契約概念のおいたち、契約自由の原則、契約と合意の違い、日本の契約概念のおいたち、契約書の役割など)

3.契約実務(契約書の作り方、印紙、袋とじ、契約の際の注意事項、技術の流れと必要な契約など)。なお、契約の際の注意事項は、次の内容を説明する。
(1)契約交渉前
(2)契約交渉時
(3)契約書作成の基本
(4)契約締結時
(5)契約締結後

4.秘密保持契約
4-1.なぜ結ぶのか?
4-2.基本の考え方
4-3.種類
4-4.主な条文
4-5.注意すべきポイント
4-6.ノウハウと出願

5.共同研究契約
5-1.共同研究(開発)契約の締結
(1)共同研究(開発)契約締結に当たっての留意点
(2)共同研究(開発)契約書の種類
(3)共同研究(開発)契約書のチェックリスト
(4)契約書例
5-2.主な注意条文

6.特許ライセンス契約
6-1.基本の考え方
6-2.契約の際の注意事項
6-3.対価(ロイヤルティ)
6-4.実施権の種類(日本)
6-5.技術契約に関連する特殊な用語

7.産学連携契約時の注意点
7-1.各大学の状況
7-2.不実施補償
7-3.その他(費用負担、外国出願、発明者など)

8.外国との契約の注意点
8-1.実施権の違い
8-2.通常実施権の登録制度
8-3.共有の違い
8-4.仲裁
8-5.ライセンス料にかかる源泉税

9.その他
9-1.ライセンスの仲介・知財売買、技術金融、など
9-2.練習問題への回答(まとめ)
9-3.簡単な契約案に関してのチェック作業(時間があれば)

最近は、ビジネスの始まりには、秘密保持契約が必須となってきた。この契約は、契約違反の立証、損害賠償額の立証の面で困難が伴い、あまり過敏になる必要が無いが、契約履行状況から相手と今後つきあいを継続していいかの重要な情報をもたらしてくれるものである。そのため、今後ともつきあうべきか否かのツールとして用いるところが増えてくると思われる。今回の講演でも、かなり秘密保持契約に重点を置いた。

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