HASEGAWA IP Small Talk 12月号(2016年)

1.スペイン・ドイツ出張報告(-スペイン編-)
2.最近始まった新商標の中で、位置商標は使える!
発行: 長谷川国際特許事務所

「お礼のあいさつ文」
今年も皆様には、たくさんのお仕事をいただき、従業員ともども感謝申し上げます。今後も「クイックリスポンス」「お客様ファースト」「従業員を大切に」を心がけていきたいと存じます。来年もよろしくお願いします。
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1.スペイン・ドイツ出張報告(-スペイン編-)

                 所長・弁理士 長谷川洋

(1)いきさつ
先月(11月)の16日から24日に、7泊9日でスペインとドイツに出張した。
目的は、仕事上のお付き合いのある現地代理人との意見交換と、現地での講演である。
当初は、現地事務所2箇所でのミニ講演だけの予定であった。
しかし、ドイツの代理人(Schaefer氏)から、自分もスペインに行くからスペインの事務所とクライアント企業で講演をし、さらにはドイツのミュンヘン所在のVPPという団体でも講演してほしいとの要望があって、引き受けることになった。
 Schaefer氏は、前職からのお付き合いのあるドイツ弁理士・欧州弁理士である。彼は、日本には何度も来て、そのたびにドイツにも来てほしいと言っていた。しかし、これが10年近く延び延びになっていた。やっと重い腰を上げて、 Schaefer氏の事務所(ミュンヘン)とスペイン代理人のMs.Ezcurra(スペイン北部のビルバオ在)とを訪問することにした。Schaefer氏は、おもてなしの気持ちからか、あるいは当方の10年越しの約束成就がうれしかったのか、スペイン2日間とその後のミュンヘン2日間、行動をともにしてくれた。こんなおもてなしを私一人で享受するのも、前職のパートナーに申し訳ないという気持ちもあり、弊所の現オブ・カウンセルである渡邉氏に声をかけさせていただき、一緒に出張に出かけた。

(2)スペインへ
羽田からスペインへは、直行便がなく、ドイツのフランクフルト経由でスペインの首都マドリードに入った。ドイツとスペインは、シェンゲン協定に入ってい て、スペインでの入国手続きはなかった。ちなみに、羽田からフランクフルトに向かう飛行機でも、入国審査カードはなかった。移動日は夜遅くマドリード国際 空港近くのホテルに宿泊し、翌日、スペイン北部のビルバオに向かった。マドリードからビルバオへの移動手段には、飛行機、バスあるいは鉄道を選択できたが、時間を優先し、1時間超でビルバオに到着できる飛行機を選択した。

(3)Ezcurra事務所
Ezcurraさんの事務所とは3年ほど付きあっている。といっても、日本から仕事を依頼したことは無く、スペイン側からの一方通行の依頼である。最初のきっかけは、日本の某特許事務所に依頼した案件について、不明な点があったようで、その問い合わせを弊所に頂いたことでした。その後すぐに、上記案件が弊所に移管され、その後数件のPCT出願日本国移行の依頼があった。
Ezcurraさんは、40代くらいで、祖父も父も弁護士という弁護士一家に生まれたとのこと。学生時代は知財に興味がったわけではなく、たまたまイギリスに留学した恋人を追ってイギリスで知財を学んだのがきっかけとのこと。我々は、最初に、Ezcurraさんの事務所を訪問し、そこで20分程度のミニ講演を行った。スペイン語は全くわからないので、つたない英語で行った。
Ezcurraさんの事務所は、所員10名くら いの事務所で、10名の割には広い事務所であった。主に、意匠と商標を扱っていて、それらよりも少ないが特許もあるとのこと。その後、Ezcurraさんと、今の事務所の元経営者(80歳くらいだったと記憶している)と、我々日本人2人と で、ネクタイ着用必須のレストランで昼食をとり、その後、Ezcurraさんが我々2人を連れて、ビルバオの街中を案内してくれた。古いがきれいに整備された町 並みが、いかにもヨーロッパの小さな都市というイメージをにおわせていた。

(4)Azagra事務所と企業SAMCA
翌日、ドイツから来るSchaefer氏をビルバオ国際空港で待ち、レンタカーでサラゴザという町へ南下した。運転手は、Schaefer氏。ビルバオからサラゴザは、3時間くらいかかった。サラゴザは、ビルバオよりも大きな町であり、マドリードとバルセロナとを結ぶ鉄道の中間地点にある。サラゴザのホテルに到着後、すぐに、Azagra事務所のクライアントであるSAMCAという企業に向かった。SAMCA は、Schaefer氏にとってもクライアントのようである。
ここで、またまたミニ講 演を行った。結構多くの質問があり、とまどいながら、どもりながら、そして、Schaefer氏や渡邉氏のヘルプもあって、何とか形になった。日本の特許訴訟の数は、毎年150~200件ほどだが、スペインでは、日本よりもずっと多いとのことである。このため、Azagra事務所のArdanuy氏は、日本の特許訴訟の数の少なさに驚いていた。なお、被疑侵害者は、特許権者から警告書を送られても無視するケースが多いとのこと。また、Schaefer氏曰く、スペインでは、特許出願は実体審査なしで登録される(フランスと同様である)。しかし、ドイツの国内特許出願やEPOへの欧州特許出願では実体審査がある。このため、スペインからドイツ にくる特許出願は、厳しい審査にさらされるとのことである。
Ardanuy氏の話では、スペインでは、比較的自由に自分の働く時間を決めて良く、昼間に2時間以上も食事から帰ってこず、その分、夜遅くまで働くということでも良いとのこと。そういえば、同じことを、Ezcurraさんも言っていたことを思い出した。そのせいか、夜7時近くなっても未だ開店せず、その後から開店するレストランやバーも多いとのこと。夜型人間が多いのかもしれない。SAMCAでの講演後、Azagra事務所を訪問した。この事務所は、共同経営と提携関係の中間くらいの関係にある2名がトップの事務所である。事務所の経理関係は別々のようである。同じAzagraという事務所名でそれぞれが仕事をしている感じである。SAMCAに同行したArdanuy氏は、上記トップ2名の内の一人である。彼は特許を専門にしている。もう一人は商標が専門である。Azagra事務所訪問後、Azagra事務所のトップ2名、Schaefer氏、我々日本人2名で、サラゴサのスペインレストランに行き、遅めの夕食をとった。

(5)その他
サラゴザで宿泊した翌日、バルセロナに向かい、サグラダファミリアを外から見た。サグラダファミリアの中にも入ることはできるが、待ち時間が長いためあきらめた。その代わり、少し空いた時間を利用して、近くのピカソ美術館に行った。その後、Schaefer氏は、ミュンヘンに戻り、我々2人は、駅でSchaefer氏とわかれて、バルセロナから新幹線でマドリードに向かった。
マドリードは、標高700~800mの高地にあり、ビルバオより南にあるにもかかわらず寒かったのを記憶している。マドリードに到着した時間は夜9時頃になっており、翌日はミュンヘンに向かうことから、すぐに床についた。
以上が、スペイン出張の概要である。来月は、ドイツ出張について御報告する。

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2.最近始まった新商標の中で、位置商標は使える!

                 オフ・カウンセル 弁理士 渡邉秀治

 昨年の4月から新商標の登録制度が開始された。対象は、動き商標、音商標、ホログラム商標、色彩のみからなる商標、及び位置商標の5つ。
この中で、色彩のみからなる商標は、今年の12月4日までに登録されたものが0件であり、また、音商標は、12月4日現在、69件登録されているが、ほとんどが歌詞がついたもの。これらから言えるのは、色彩のみからなる商標と、音のみからなる商標は、審査段階では、ほとんど登録されず、審判や訴訟で、周知性を立証して初めて登録されるものであること。周知性の立証は、中小・中堅企業では、かなり困難。
動き商標は多くのもの(47件)が登録されているが、中小・中堅企業ではテレビCMがほとんどなく、関係が非常に薄い。ホログラム商標は、今まで23件が登録されているのみであり、しかも中小・中堅企業では使用機会がほとんどないものである。
これら4つの商標に対し、位置商標(文字や図形等の標章を商品等に付す位置が特定される商標)は、中小・中堅企業がうまく使うことが可能となる商標と判断される。この商標は、今年の12月4日までに17件が登録されている。
たとえば、以下のような使用例が考えられる。
「例1」製造・販売する部品(完成品の一部)の特定位置に自社のものであることを示すマーク(図、社名、キャッチフレーズ、記号など)を付ける。
「例2」制服(販売も実施)の胸ポケット部分に特定のマークを付ける。
「例3」製造・販売する完成品の回転操作部にマークを付ける。
「例4」生産・販売している農産物の表面の特定位置にマークを付ける。
なお、新商標がどのようなものかの詳細については、特許庁の下記URLを参照のこと。
https://www.jpo.go.jp/seido/s_shouhyou/pdf/new_sho

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